TaoChat@1145編集後記

十月もあと一週間となってしまった。この月の素晴らしさは、奇麗な満月を拝めることである。空気がさえわたる夜空に浮かぶ満月は、月見には一番よい。真冬の夜空に浮かぶ寒月もまた、身を引き締めてくれるので、見る価値はある。ただし、その美しさをゆとりをもって見れる点では、10月の満月は最適である。英語では10月をOCTOBERというが、OCTは8を意味するので、なぜ8月じゃないの?という疑問が湧く。ネットで調べると、OCTOBERは古代ローマの暦から来ていて、古代ローマでは3月を年の初めとしていたため、10月は8番目の月になったらしい。今日は曇り空だが雨の予報はなく、午後から散歩に出かける予定にする。

この一週間の出来事は、めでたいニュースは小室圭君のNY弁護士試験合格である。新潮や文春に、また不合格かという誹謗中傷の記事を書かれていたので、可哀想にと思っていた。無事合格して、生活の基盤ができたことはうれしい限りである。本当におめでとうございます。悲しいニュースは、ドリフの仲本工事さんが亡くなった事である。交通事故というのがまた悲しい。ご冥福をお祈りします。ウクライナでは、ロシアが略奪した地域に、プーチンによって戒厳令を敷かれ、住民を強制移住させるという策に出た。ロシアの占領地区を戦場にするか、廃墟にしてウクライナに使わせないようにしようとするものである。もはやロシアのなすことは悪魔のしわざとしか思えないようだ。カザフスタンでは、徴兵逃れで流入したロシア人により、住宅価格が高騰しているというニュースが流れた。彼らを強制送還できないところが悩ましい。円安は150円を超える所まで行った。その後政府・日銀が介入し144円台まで行きましたが、一時の気休めになることは目に見えています。介入は応急処置であり、根本解決ではないからです。

今回の言葉は、菜根譚からです。現在漱石の「草枕」を読んでいて、そこで見つけた言葉(主人公が泊まった部屋にかかっていた額の言葉)から、原典を辿りました。「草枕」は漢語が多く出てきますが、主人公の画家と那美さんの会話が面白く、親しみが持てます。那美さんは、旅館の娘で出戻りですが、非人情の持ち主で、主人公と知的な会話を交わし、読者にとってはマドンナ的な存在となります。世間的にみると、ちと変わった女でcrazyと思われている。現代にもこういう女性はいるでしょうなと思いながら読んでいます。岩波文庫で176ページ中78ページを読んだだけなので、この先の展開が楽しみです。「竹影掃階塵不動」は、禅語でも取り上げられる言葉です。障子に風に揺らぐ影を見ることはときどきあります。寺の僧侶なら当然かもしれません。階段の拭き掃除を毎日しても、塵は残るでしょう。竹の影はほうきの動きに見え、階段の塵を即座に思い浮かべたのがすごいところです。きっと塵は動いていないだろうな。風を思い浮かべると、ひょっとして塵も動いているかもしれません。でも自分が見ているほうきの動きは、階段の塵には及んでいないと思う心が大事だといっているようです。外界の動きに動揺せず、これを切断し、心を空にすると新たな世界が開けてくる。その覚りがこれから生きる上で大事になる。菜根譚では、「人常に此の意を持して、以って事に応じ物に接すれば、身心何等の自在ぞ」と結んでいる。まさに荘子の逍遙の世界に遊んでいる。