TaoChat@1062編集後記

朝起きたときには曇っていた空は今も曇っているが、明るいところを見るとそのうち腫れるかもしれない。家内を駅まで車で送っていったとき、国道が車で混雑していた。

緊急事態宣言疲れがしてきたのか、3学期が終わったためか、行楽地の人出は一気に増しそうな感じである。菅首相の緊急事態宣言解除の会見でも、緊急事態宣言は「労多くして、益はそんなにない」と語っていた。最初からわかっていたことだが、中途半端な緊急事態宣言は「労多くして、益はそんなにない」もので、それを実際やってみてそういう結論を得たんだなと感じた。いつもいっている、専門家の意見を参考にしながらというのも、形式的な前置きに過ぎなかった。菅首相内閣官房長官のままの首相ということに尽きている感がある。

一年ぶりに仕事を再開して毎日東京駅まで出かけるが、駅の人出も一気に増えた感じである。皆がマスクをしているお陰で、変異種の感染も抑えられているのかもしれない。花粉症で車内で咳き込むこともあるが、以前ほど白い目で見られないのもありがたいことである。コロナに過剰反応する人が減ってきているのはいいことだ。ワクチン接種しても、マスクや手洗いをしていれば、感染は抑えられるという自信を皆が持ってきている証しだと思う。

今回の言葉は、諸橋さんの「荘子物語」(講談社学術文庫)で見つけた。

人間というのは欲があるから心が惑い、理性的な判断ができなくなる。

荘子は賭け事からこれに切り込む。かけ金の多少で心への影響が変る。

カジノで大金を賭けて大負けするのは、大金に心乱れて理性的な判断ができない証しである。賭けマージャンで職を追われた検事長がいたが、少額のときは上手く打てていたのが、大金が絡むと大きな手をつい狙いがちで逆に振り込むケースが多くなる。

達生篇にこの話が書かれているのがまた面白い。達生とは、人生を全うするための言葉である。一言で言えば、無為の虚心坦懐を保つことである。これがなかなかできない。

だから荘子も外物に目を奪われるなという。

季節柄、4月は外物が次々と目の前に現われる時期でもある。

外物に飲み込まれないように虚心で事に当たれというのが荘子のアドバイスのようである。

最後に最近、寝床で野末陳平さんの「孔子老子」(青年新書)を読んでいる。陳平さんといえば、かつては黒メガネに筮竹をもって怪しげな風貌でデビューしたが、早稲田で中国哲学を学んでおり、老荘の素養もある方である。しゃべり口調が面白く、深夜放送では腹を抱えて笑ったという記憶がある。国会議員にもなられたが、なる前の彼の破天荒がなつかしい。1968年に「荘子入門」も出されているが今は手に入らない。ということで、10年ほど前に出版された「孔子老子」を読んでいるが、語り口調は当時の破天荒を少し理性化しているところが陳平さんの魅力の一つである。