TaoChat@1077編集後記

昨夜から大雨で、今朝は大雨警戒注意報が湘南に出ている。実を言うと、夜中の1時や3時に市役所の放送が流れるとうるさくて眠れない。注意喚起のためなのでしかたないとは思うが、音量が大きすぎる。耳の遠い高齢者もいることを想定してのことなのか。

今週の出来事は、大谷翔平さんのホームランが28号まで行き、月間MVPをとったのと、ワクチン不足で会社の集団接種がなくなったことが大きい。本当に人騒がせなワクチンである。五輪開催に意欲を燃やす菅首相だが、何の手立てもなく開催するところは、狂気の沙汰としかいえない。国民の安心と安全は空前の灯火となっている。

この一週間の読書は、魯迅の「故事新編」(岩波文庫)を読んだ。中国の昔話は若いときから興味があった。そもそも今昔物語や雨月物語も中国の話を元にしたものが多い。いわゆる怪談や化け物が出てくる話で、西遊記もその一つで、自分には親しみ深い。

故事新編」には怪談話は出てこないが、「剣を鍛える話」は面白かった。

また、老子の函谷関の話と荘子の死人をよみがえらせる話も面白かった。魯迅は中国語で書いているので、訳した竹内好氏の腕によるものだと思う。老子の方は、史記荘子の記述をそのままストーリー展開させている。もちろん、孔子も登場し、老子が一枚上手であることを示している。これも荘子から引用している。

今回の言葉は、アウレリウスの「自省録」から選んだ。ローマ皇帝でありながら、哲学者でもあったアウレリウスの言葉は、老荘の薫がぷんぷんします。

選んだ言葉は、人間界で生きていくための覚悟を説きます。アウレリウスの立場からすれば、教える役割のほうが大きかったと思いますが、「自省録」は死後に残ったメモをもとに編纂したので、言葉として、これが臣下に語ったかはわかりません。

しかしローマ皇帝の身分であったにせよ、実際には耐え忍ぶことが多かったに違いありません。何故なら、皇帝こそが人間関係の極致だからです。命令の趣旨を部下が理解していたとは思えません。アウレリウスの哲学の根底には、人間界を取巻く宇宙の真理があります。そこに根ざした言葉であるからこそ、納得がいくわけです。

最近亡くなった立花隆氏も、宇宙の真理に対してあくなき知の追求をされた方のように思います。立花さんから始めて感動をもらった本は「宇宙からの帰還」でした。月着陸した宇宙飛行士を実況中継するかのごとく綿密に状況を分析し、宇宙から地球をながめると神の存在になるといった感覚を追体験した思い出がよみがえります。あらためて立花氏に哀悼の意を捧げます。