TaoChat@1043編集後記

今日は肌寒い曇り空だが雨は降らないとの予報である。

家内が信州に旅行に行き、みやげ話で黄葉を堪能したことを聞き、持ち帰った写真を見て静かな湖面に映る黄色の揺らぎの情景を思い浮かべた。

この一週間の出来事は、アメリカ大統領選挙の投票結果の遅延に尽きる。コロナの影響で郵便投票が支配的になり、その集計が遅れているのが原因だそうだ。

今回の選挙を見ていて、アメリカ国民の民主主義の熱意に感動している。この熱意に匹敵する民主主義への思いは、日本にはまだない。

アメリカ国民と大統領との距離は、日本の総理と国民の距離よりずっと近い。

さまざまな差別と分断を引き起こしたトランプさんだが、支持者にとっては神様に匹敵する強気な存在である事が、接戦の結果を見て実証された。コロナ対策や環境問題を後回しにしても、経済の回復を優先し、強いアメリカをアピールした。

合衆国はいまや、Ununited StatesになったというジョークをTVで聞いた。民主主義への挑戦をしてまで、大統領になろうとする姿は海外からは見苦しく見える。

経済の回復により仕事にありつける人から見れば、トランプさんは救世主に見えてくる。しかし、アメリカをUnited Statesにするのは民主主義の力である。アメリカ国家の有るべき姿にむけて国民の合意のもとで推し進めるという民主主義である。そこには総力の結集が不可欠で、力の分断ではない。

メルマガTaoChatでお届けした今回の言葉は、蕪村の句である。

闇に向かってほえる黒犬は闇におびえる。

しかし、その犬に自分を見る蕪村は、ほえる理由は自分の内なる闇という。

蕪村の句から、黒い犬はトランプさんのように見えてきた。

投票の結果は、4年の政治に対する国民の評価結果である。それが民主主義のプロセスである。その結果を見ずして次のプロセスはない。結果を見てから、票集計のまずさを指摘すればよい。プロセスへの信頼を失っているとしたら、それこそ、トランプさんの心の闇というより他はない。闇を抱えた人間が見る世界は闇であり、その闇におびえる。

蕪村の句はそういった状況を17文字に表現してくれる。