徴用工問題

森敦氏の「月山」と同時に読んでいる、森達也氏の「それでもドキュメンタリーは嘘をつく」という文庫本。

同じ森つながりで読んでいるわけではないが、これもなかなか面白い。

この本のなかに、大島渚氏の描いた、「忘れられた皇軍」の話が出てくる。

太平洋戦争中に日本軍人として戦いながら、戦後韓国籍に帰ったために日本の社会保障(軍人恩給)が受けられず、白衣の傷痍軍人として街頭で物乞う在日韓国人の話である。

徴用工よりも大きな問題である。天皇陛下が率いる軍隊に属して、命まで捧げたのに、国籍を変えただけで、報国の行為が報われないのは納得がいかない。更に韓国でも長い間裏切り者として社会保障が受けられず、戦争被害者として認知されたのが2006年。韓国が責めるべきは、日本人として従軍した韓国人に対する補償に関する日本の対応でしょう。

戦争に伴って、双方に犠牲者がたくさんいたのは現実で、それらの犠牲に対する補償を請求する権利を放棄すると日韓が取り決めたのが、1965年締結の日韓請求権協定です。徴用工に対する請求権も含まれているのは、双方で確認済みです。さらに、1944年から国家的な徴用が始まっているのにそれ以前の募集に関して応募した人間が訴えを起こしてる。

国家間の約束を反故にしてまで過去にこだわる国には、将来の友好は望めません。半島の統一のために、日本にどう協力を求めていけばよいのか、真剣に考えてよいのでは?