坊っちゃん

書籍の値段も上がり、新書も今時は税込みで1000円近くする。

かばんの中に本を持ち歩く人間としては、文庫か新書で買う事が殆どである。

そんな中、書店で見かけた300円ほどで買える文庫本を見かけた。

集英社文庫の「坊っちゃん」である。

夏目漱石の小説で、中学か高校のときの教科書にそのさわりが載っていたような気がする。

赤シャツや山嵐や清の名の記憶は蘇るが、内容の記憶がない。

著作権はもちろん切れているので青空文庫でも読めるが、ページをくくりながら活字を目で追いたい。

そこでこれを買い求め、令和元年のうちに読み終えた。

読んでみるとなかなか面白い。

うらなり君や赤シャツの人となりは、現代にもよく見かける事が出来、おとなしい人間は、ずる賢い人間にだまされるが何も言えない。

そんな不条理に立ち向かう、坊っちゃん山嵐の鉄拳が話を面白くしている。

うらなり君の元許嫁マドンナは、うらなり君のうちが落ちぶれると、赤シャツになびく。しかし、マドンナの登場は殆ど無く、その発言も聞けない。

うらなり君の転任のための送別会が料亭で開かれるが、集まる人は、転任を惜しむためではなく、皆で酒を呑んで遊ぶためだと坊っちゃんが感じるところは、今も昔も変わらない。

夏目漱石の小説は、読後に清清しさを感じる。