暖かい日が続き、花粉量が増し、くしゃみと目のうるみが続いている。
今日は芥川龍之介先生の「西方の人・侏儒の言葉」(新潮文庫)から、言葉を拾った。
この文庫、中学生の頃買った本で110円とある。
芭蕉雑記が面白いが、その3ページ前にある、2+2=4の見出しがついた言葉である。
+の間にある無数の因子という言葉が気に入った。
この言葉、いろいろな解釈ができる。
芥川さんにとって、2は両親のことかもしれない。
4は自分である。
+には、遺伝子の交合が含まれる。
DNAの塩基の組み換えという無数の因子が自分を生んでいる。
芥川さんの母親は神経症を患っていて、自分も遺伝的にそれを引き継いでいると自覚していた。
芥川さんの「点鬼簿」は、「僕の母は狂人だった。」で始まる。
遺伝子組み換えも、両親のよい形質だけを受け継げば、2+2=4になるかもしれないが、現実は、ゼロどころか負になる場合もある。
芥川さんにとって、4という大きさはどうでもよく、プラスの過程が問題をはらんでいると考えている。
もう一つの解釈は、メルマガで書いた、プラス(+)をベクトルと考える。
数学では、一次元の数直線上での足し算である。
しかし、人間が生きる世界は、空間という三次元である。
その空間で、力のベクトルを足し合わせるのが現実の問題である。
ひとびとが協力して、ひとりでは成し遂げられないことを実現するには、ベクトルの向きを合わせる事が必要になる。
人間各様だから、向きが完全にそろうことなんかありえない。
どのように無数の因子から、限られた因子を選んで、力のベクトルをプラスの向きに向けていくかが、現実的な解となる。
米中の貿易戦争、そして英国のEU離脱が、日本の景気に大きな波を及ぼす。
波にあおられるままでいては、日本の未来は暗い。
各国のベクトルの向きを合わせるため、日本は何ができるのか?
来年の東京五輪を通じて、何をメッセージとして、世界に届けるのか?
無数の因子のうちの一つに自分もなりえる。
芥川さんの2+2=4は、いろいろなメッセージを我々に発している。