世の中は、アメフト監督の「潰せ」発言問題から、米朝首脳会談中止まで慌しかった。
どちらの問題も、言葉の軽さが災いを呼んだ問題であるようだ。
日大学長の記者会見も、「近頃の若者は潰せの意味を文字通り受け取って困る」ような印象だった。
一方、金さんとトランプさんは、会談前に有利に立とうと、褒め上げとけなしを交えた筆舌合戦を繰り広げている。
二人に言いたいのは、会談を始まるまで黙っていて欲しいということ。
核実験場爆破は、勝手に証拠隠滅し、好印象を植えつけるお祭りである。
5月最後の言葉は、こういう胸糞が悪くなる人間界を離れて、一茶が繰り広げる感動のシーンの句をお届けした。
生きるためにいのししを殺す猟師が、銃口をいのししに向けている。
その腕に留まる小さな蝶。
その蝶が猟師にささやく言葉。
それを一茶は、17文字によんでいる。
言葉は一茶の心より発せられるが、蝶の心を汲み取って発せられている。
無駄な言葉は一文字もない。
日本人の文化は、必要最小限の言葉で心を伝えるところにある。
西城秀樹さんが亡くなった。
「一生青春」が彼の言葉だったらしい。
最後までその言葉を貫いて生涯を終えた。
言葉は少なくても、その言葉で語られる彼の生き方(一生)が感動を呼ぶ。
一茶の蝶の言葉は、「いのししを見逃して欲しい」と聞こえた所に小さな命を見守る生き方が現れている。
アメフト監督が教えるのは、フェアなスポーツ精神であり、敵を潰すことではない。
首脳会談をする首脳なら、目指すのは世界の平和であり、自国の平和ではない。
世界平和のために、自分が何をすべきか、会談で徹底的に論じて欲しい。
一茶の句から脱線したが、弱きものを見守る眼差しを現代人は忘れている。
眼差しがあれば、言葉は多くはいらない。
眼差しを行動で示せばよい。
一茶は、眼差しを句に表現するという行動で示した。