TaoChat@915編集後記

世の中は、アメフト監督の「潰せ」発言問題から、米朝首脳会談中止まで慌しかった。

どちらの問題も、言葉の軽さが災いを呼んだ問題であるようだ。

日大学長の記者会見も、「近頃の若者は潰せの意味を文字通り受け取って困る」ような印象だった。

一方、金さんとトランプさんは、会談前に有利に立とうと、褒め上げとけなしを交えた筆舌合戦を繰り広げている。

二人に言いたいのは、会談を始まるまで黙っていて欲しいということ。

核実験場爆破は、勝手に証拠隠滅し、好印象を植えつけるお祭りである。

5月最後の言葉は、こういう胸糞が悪くなる人間界を離れて、一茶が繰り広げる感動のシーンの句をお届けした。

生きるためにいのししを殺す猟師が、銃口をいのししに向けている。

その腕に留まる小さな蝶。

その蝶が猟師にささやく言葉。

それを一茶は、17文字によんでいる。

言葉は一茶の心より発せられるが、蝶の心を汲み取って発せられている。

無駄な言葉は一文字もない。

日本人の文化は、必要最小限の言葉で心を伝えるところにある。

西城秀樹さんが亡くなった。

「一生青春」が彼の言葉だったらしい。

最後までその言葉を貫いて生涯を終えた。

言葉は少なくても、その言葉で語られる彼の生き方(一生)が感動を呼ぶ。

一茶の蝶の言葉は、「いのししを見逃して欲しい」と聞こえた所に小さな命を見守る生き方が現れている。

アメフト監督が教えるのは、フェアなスポーツ精神であり、敵を潰すことではない。

首脳会談をする首脳なら、目指すのは世界の平和であり、自国の平和ではない。

世界平和のために、自分が何をすべきか、会談で徹底的に論じて欲しい。

一茶の句から脱線したが、弱きものを見守る眼差しを現代人は忘れている。

眼差しがあれば、言葉は多くはいらない。

眼差しを行動で示せばよい。

一茶は、眼差しを句に表現するという行動で示した。