8のぞろ目の回なので、特別な言葉を探したが、見つからなかった。
先週は英語の言葉だったので、今週は漢字にする積もりだった。
「孫子」は戦いに勝つための秘策を教えるが、ひとつひとつの秘策には前提がある。
それは書いていない。
こうすれば勝ち、こうすれば負けると書かれるが、勝つための前提、負けるための前提がある。
戦争なんて、できればやらない方がいい。
やれば人が沢山死んで、土地は荒廃し、勝っても恨みを残す。
それは人類が一貫して繰り返してきた真実であり、孫子もこの前提に立つ。
今回の北朝鮮への圧力も、戦争を起こす前に、勝ちを決めたい。
孫子に出てくる無形戦略は、一言で言うなら、形の定まらない軍形は攻めようがないということ。中枢が明らかでないので、こっちを叩けば、あっちが出てきて、あっちを叩けばこっちが出てくる、もぐら叩きと同じである。北朝鮮がこの無形戦略をとっていると以前のメルマガで書いた。
手をこまねいている間に、北朝鮮は核弾頭つきミサイルを開発した。
この時点で、勝利は北朝鮮にあがっている。
時計の針はもとに戻せない。
今回のメルマガは、このような生々しい状況はさておき、無形の軍形のメリットを出しているのは、いまのSNSの世界であるということから、無形戦略を見直した。
無形の強さはとらえどころのないところで、誰もが情報の発信源で、社会の発展のための情報を提供できる点である。これにより、見知らぬひとが情報の共有が行え、いろんな疑問点がそれなりに解決している。
情報機器の故障や操作法など、ネットなしに問題解決はできないと認識する。
無形の弱さは、情報の真偽は自分で判断しないといけない点である。
不正請求など、情報を鵜呑みにすると、金銭被害にあう。
書き込みすると、逆に非難されることもある。
情報の発信源の分散化は、発信するひとのモラルと受け取る側の情報の真偽判断に任される。この前提があっての無形戦略なのである。
孫子の無形戦略は、味方にとっても軍形は常に変動している。
相手を欺くための軍形なので、味方も欺かねばならない。
命令系統の中枢を持たない。
中枢からの命令が優先すれば、それを傍受されると戦いは不利になる。
分散した軍は自律的に戦局の真偽を判断し、行動しなければならない。
無形を維持するには、軍の末端がしっかり判断能力を持たなければならない。
孫子の前提は、無形を支える末端組織の自律的な判断となっている。
ネット社会の場合なら、ネットの末端にいる個人のモラルと真偽判断が無形の前提となる。
最近の事件は、ネットの無形の悪用が引き起こしており、情報を受け取る側が負う判断の重みがとみに増している。